SolVision導入事例
積層セラミックコンデンサ(MLCC)の欠陥検出
お客様
顧客はフラッシュメモリコントローラーチップの分野で長年実績を積んでおり、NANDストレージコントローラーチップおよびストレージソリューションの世界的リーダー企業です。
課題
高精度な製造プロセスでMLCCの品質安定性を確保
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、現代の電子製品に欠かせない重要なコンポーネントであり、電流や電圧の制御・管理に利用されます。その高信頼性、高周波特性、低コストといった利点により、MLCCはコンピュータ、スマートフォン、精密測定機器、レーダー通信など、さまざまな電子機器に広く使用されています。
MLCCの安定性と性能を保証するためには、生産工程での高精度な管理が不可欠です。たとえば、寸法精度、形状の規格化、電極分布の均一性といった項目は、品質の重要な指標です。わずかな製造プロセスの偏差(例えば、寸法不良、表面の凹凸、電極分布の不均一など)が性能に影響を与え、最終製品の信頼性を損なう可能性があります。このため、製造プロセスの各段階を正確に制御することが、MLCCの品質確保にとって極めて重要です。

挑戦
MLCC検査の高い誤判定率がAI能力の限界を試す
AIソフトウェアを導入する以前は、MLCCの欠陥検出は主に目視検査に依存していました。しかし、目視検査は検査員の主観や疲労の影響を受けやすく、判定の一貫性を確保するのが難しいのが現状です。特に、寸法の微細な偏差や微小なひび割れ、電極分布のわずかな不均一を検出する際には、基準が統一されないことで見逃しや過剰検出が発生しやすくなります。
これらの問題を改善するため、顧客はAI検査システムの開発に着手しました。深層学習技術を活用して自動化された検査を実現しようと試みましたが、MLCCの特性により誤判定率が高くなる問題が発生しました。この結果、生産コストが増大し、全体的な検査効率や生産スケジュールに悪影響を与えていました。
ソリューション
AI視覚検査技術でMLCC検査基準を刷新
SolVision AI視覚検査技術を導入することで、MLCC検査における誤判定率の問題を効果的に解決できます。このシステムは、深層学習とインスタンスセグメンテーション技術を組み合わせ、MLCCの微細な欠陥を正確に検出します。例えば、寸法不良のMLCCを選別したり、表面の凹凸や電極分布の不規則性を迅速に見つけたりすることで、検査精度を向上させます。
SolVision AIは、少量の欠陥サンプルでモデルを訓練し、高効率の分類を実現します。さらに欠陥タイプをラベル付けして記録します。高速生産ラインにおいても、AIはミリ秒単位で各MLCCを判定し、高速かつ安定した検査が可能です。また、欠陥データを分析することで、生産過程の問題点を即座に特定し、装置やプロセスを最適化できます。これにより、不良品の発生を減少させ、製品の一貫性と生産効率を大幅に向上させます。
